御所工芸館は、この一冊を薦めます。
あなたの世界観を変えるかもしれません!
「不均衡進化論」 古澤 満 著 筑摩書房
「不均衡進化論」の理論自体は、確かに、驚くほどシンプルである。答えを知ってしまってから、どうしてそのことに気付かなかったのだろうと思うことはよくあるが、もしかしたら、不均衡進化論を知って同様な感じを受けた人が居るかもしれない。しかし、気付かない人は、やはり気付かず、世界中でただ一人、古澤氏だけが気付いたのである。
古澤氏の着想により、過去から現在までの観察を主体としていた生物進化の研究を、実験による検証可能な世界へ引きずり出すことになった。その実験結果は、過去の進化の過程を説明するだけでなく、未来も予測するかもしれない。そうなれば、不均衡進化論無しに生物学は語れなくなるだろう。
「人間の未来の姿」についても、不均衡進化論は、答を導くだろうか?
不均衡進化論が実際にどの程度生物の進化に関わってきたかは今後の研究結果を待たなければならないが、現時点で言えることは、不均衡進化論の考え方を適用した実験で実際に進化を加速する事ができるという事実である。進化の研究を実験室内に持ち込むことに成功した「不均衡進化論」は、進化を研究する有力な武器になったのである。
古澤氏は、生物の進化の原動力は生物自身に内在するという新しい考え方を採用した。それも、「DNAの複製」というすべての生物の根源的な現象に起因すると考えている。内在するとしたら、これほど確かな場所は無い。
実験による進化の検証が進めば、もしかしたら、生物に内在する他のメカニズムも見つかるかもしれない。しかし、それが、不均衡進化論の革新的な考え方の価値を下げるものでもない。不均衡進化論の考え方があるからこそ、それをステップに次の段階に進むことも出来るのではないか。
どんな理論も完全ではなく、その理論の不備な部分を研究することで科学は発展してきた。今の世の中で、ニュートンの運動方程式が全ての物体の運動を説明できると考える科学者は一人もいないだろうが、だからと言って、ニュートンの運動方程式が間違っているかといえば、決してそんなことはない。ニュートンの偉大な功績の上に現代社会が成り立っていることに反対する人はいないだろう。「不均衡進化論」が進化学の「ニュートンの運動方程式」になれるかどうかは別にして、この理論に注目して研究する人が増えることで、進化の研究が加速することを願いたい。ニュートンという、あまりにも偉大な人物を引き合いに出してしまったが、「不均衡進化論」は、それくらいシンプルで美しい理論に思える。
最近、「運のいい人の法則」という本を読んだ。
この本によれば、運のいい人、悪い人は確かに存在するらしい。運のいい人には、チャンスを最大限に広げるなどの良い習慣が備わっていて、偶然と思われるような「幸運」を引き寄せる事が出来るというのだ。
古澤氏は、良い運も悪い運も何もかも引き寄せているようにも見えるが、総合的には、「運のいい人」に思える。古澤氏の人柄もあって、応援したいと思う人が年代を問わず多くいるような気がする。
誰かが、偶然「御所工芸館」のサイトを見て「不均衡進化論」の事を知り、書店で本を手にして、その内容に感銘を受け、将来、不均衡進化論の発展に重要な役割を果たすなどということは、ほとんどあり得ないことのようにも思える。でも、可能性はゼロではない。たとえば、こんなことが積み重なって、奇跡の様な偶然が起き、古澤氏に幸運をもたらすかもしれない。些細なことでも何人もの人が行動すれば、相乗的に可能性は高まっていくだろう。
古澤氏は、「不均衡進化論」を発表した後、大きな種を2つ蒔いたと思う。一つは、ネオ・モルガン研究所という会社を設立したこと、もう一つは、一般向けに「不均衡進化論」という本を出版したことである。おそらく、蒔いた種は成長して、一人歩きをするようになるだろう。研究者として、生物学者として、するべきことはしたのではないか。あとは女神がほほ笑むかどうか。「不均衡進化論」の行く末を見守りたい。私が生きている範囲では無理かもしれないが。
沼田 文男
もし、将来、次のような結果が得られたら、どういうことになるのだろうか?
1、不均衡進化論の考え方で、生物を進化させる技術を確立した。
2、しかし、過去の進化の過程に、不均衡進化論の関与はほとんど無いことが分かった。
(不均衡進化論のファンとしては、そうでないと信じているが、)
その場合、生物の新しい進化の方法を、人間が作りだしたことになるのだろうか。
その技術が高度になって、自由自在に進化を操れるようになったら、
どんな世界が待っているのだろうか?
古澤氏のセミナーを聴いて、最近思ったこと
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古澤氏の横顔
リンク
The role of disparity-mutagenesis model on tumor development
with special reference to increased mutation rate
がん細胞の異常に高い変異率と不均衡変異モデルの関係を論じています。
不均衡進化論の総説
OJGen20110300008_80573945.pdf へのリンク
DNA二重らせんの生物学的意義に関する古澤氏の考え方です。
筑摩書房 不均衡進化論 古澤 滿著
この本を面白いと思った人を見つけました。
おっさんひとり飯
お気らく活字生活
ゆうどうの読書記録
こんなところでも紹介されています。
生命の森をさまよう
小宮研スライドショー
科学技術振興機構
学生に読んでほしい本2011 大阪産業大学綜合図書館
古澤氏が創業者であり、現在最高科学顧問となっている会社です。
古澤満コラムがあります。
株式会社ネオ・モルガン研究所